なぜウサギを一羽、二羽と数えるか2

 一方、鳥が必要とする持続的な運動とは何か。駝鳥のように飛ぶことを忘れた鳥もいるが、多くの鳥は不安定な電線や木の枝に止まる。こうしたときには持続的な疲労しにくい指の筋肉がないと枝に止まっていられない。鳥が疲れて木から落ちた話は聞いたことがない。すなわち姿勢保持である。姿勢保持の際に問題となる最も大きな力、持続的な外力は重力である。抗重力作用こそ赤筋の最も重要な作用である。

 しかし鳥の止まっている電線は揺れる。小枝は風になびく、瞬時の姿勢保持が必要である。赤い筋肉は瞬発力が無いと書いたが、姿勢保持に必要なこの瞬発力を神経機構がカバーしている。すなわちサーボ機構である。この神経機構については次の章で述べる。

 アガサ・クリスティの探偵小説の主人公ポアロは、「この灰色のものが命じるところによれば」と言う。脳細胞を灰白質といい、肉眼的には薄い灰色に見えるが、著者の考えではヒトの脳細胞にも赤い脳細胞と白い脳細胞があるのではないかと思う。すなわち、持続的に我慢強く勉強し続けられる人と瞬発力だけで勝負する人である。常々、著者の脳細胞は真っ白なのでなないかと考えている。単に、わがままなだけだという説もあるが。

 食べて美味しいのは白身だけどネ・・

※このコンテンツは、当科顧問橘滋國先生の著書である「体の反射のふしぎ学ー足がもつれないのはなぜ?」(講談社 ブルーバックス 1994年)を元に改変・編集したものです。

このサイトの監修者

亀田総合病院
脊椎脊髄外科部長 久保田 基夫

【専門分野】
脊椎脊髄疾患、末梢神経疾患の外科治療