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有限要素法による腰椎椎体間固定術式間の固定性についての優劣を検討した中国からの論文です。
例えば一側L4椎間孔狭窄に対してL4/5の患側椎間関節切除、椎間板廓清、ケージ挿入、患側椎弓根スクリュー設置、一側ロッド固定という各step のうち、椎間関節切除を外側アプローチでL5上関節突起切除にとどめる、椎弓根スクリューを両側にする、健側椎間関節スクリュー固定を加える、というバリエーションを想定して、前屈、後屈側屈、回旋の負荷を腰椎3D仮想モデル加えたときの各ROMを比較しています。また一側ロッド締結時のロッドにかかる応力についても検討しています。
ELIF(患側上関節突起のみ切除、椎間板廓清、ケージ挿入、患側椎弓根スクリュー、一側ロッド締結)は椎弓根スクリュー固定を一側のみにしたTLIFよりROM制限効果は大きく両側椎弓根スクリュー固定したTLIFよりは劣る、しかしELIFに椎弓経由の健側椎間関節スクリューを加えると両側固定のTLIFと同等になるうえに、患側ロッドにかかる応力も減少する。すなわち一側ELIFに対側の関節間スクリューを加える術式は非侵襲性において推奨される根拠がある、と主張されています。
有限要素法による生体力学的検討は机上で研究しやすい一方で、検証もしやすい研究手法と思われます。本論文の妥当性についても今後の同様の手法や臨床例からの検証を待ちたいところです。

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脊椎脊髄外科 三浦 勇

このサイトの監修者

亀田総合病院
脊椎脊髄外科部長 久保田 基夫

【専門分野】
脊椎脊髄疾患、末梢神経疾患の外科治療