Tips005:成人でも脊髄空洞の自然縮小はある?

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患者さんは40代女性です。電気を取り替えようとしてイスに上ったところ、バランスを崩して転落、その後上肢のしびれと胸部痛が発症し来院されました。
MRIでは小脳扁桃下垂と、C6-T4にいたる空洞形成を認めます。
神経障害性疼痛が耐えられないため、疼痛コントロール目的で緊急入院していただきました。
FMDの予定を立て、待機していましたが、発症から1月ほどして疼痛が軽快してきました。


Answer:成人でも脊髄空洞症は自然消失する!

post123_2.jpg念のためにMRIを撮影してみたところ、小脳扁桃は挙上し、空洞は自然縮小していました。手術を中止し、患者さんは無事退院されました。 成人での空洞の自然縮小を3例経験していますが、成人では基本的にまれと考えています。 Subclinicalな小脳扁桃下垂がある患者さんで、頭蓋内圧が上昇するようなエピソードにより小脳扁桃が下垂、空洞が形成されたと考えています。

このサイトの監修者

亀田総合病院
脊椎脊髄外科部長 久保田 基夫

【専門分野】
脊椎脊髄疾患、末梢神経疾患の外科治療