第56回日本呼吸器学会学術講演会 その2 大槻医師と根本医師の発表

第56回日本呼吸器学会学術講演会(4月8日〜4月10日)が京都国際会議場で開催されました。

当科からは、ポスター発表6題、ミニシンポジウム1題、症例検討会1題、シンポジウム1題、Year Review1題の合計10演題を発表しました。その中で、臨床諸問題学術部会長である主任部長青島はYear Review in Assembly 7における講演、シンポジウム13の座長をつとめました。山脇医師は研修医トラベルアワードを受賞しました。

本稿ではその2として、大槻医師と根本医師の発表を報告します。

大槻は「当院における悪性胸水貯留症例の臨床的検討」を発表し、「TKI使用群は全例EGFR mutation陽性であり、非使用群に比し有意にMSTの延長が認められ、TKI治療がMSTに与える影響は大きいと考えられた。胸水パラメータでは、TP低値例に予後が悪い傾向があり、栄養状態等が肺癌の悪性胸水例の予後に影響を及ぼす可能性がある。」と結論を述べました。

会場からは「PSではMSTに影響あったのか?」と質問があり、大槻は「今回検討しようと試みたが、PSが不明な症例が多く困難であった。」と返答しました。

大槻は「色々な発表を聞くことができて勉強になりました」と感想を述べました。


根本医師は「当院における薬剤性肺障害の臨床的検討」を発表し、「エドキサバン、ダビガトランによる薬剤性肺障害(COP/CEP like pattern)を認めた。予後は比較的良好であったが、画像上AIP like patternを呈している症例は以前の報告通り予後は不良であった。」と結論を述べました。

会場からは「薬剤性肺障害ではDLSTをどのように使えばよいか?」と質問があり、根本は「過敏反応による薬剤誘発性肺障害が考えられる場合には使用できると思われるが、ほぼ全例で陰性にでる薬剤や陽性にでる薬剤が報告されており、薬剤性肺障害が疑われる個々の被疑薬にたいしてそのような報告があるかどうかを調べることが望ましいと考えられる。」と返答しました。

根本は、「呼吸器学会に初めて参加しましたが、どのポスター発表でもシンポジウムでも新しい検討や、今後の展望などとても勉強になる内容であふれており、とても良い経験になりました」と感想を述べておりました。


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このサイトの監修者

亀田総合病院
呼吸器内科部長 中島 啓

【専門分野】
呼吸器疾患