嚢胞や空洞の壁肥厚、周囲の浸潤影が出現したら慢性肺アスペルギルス症を疑う

嚢胞や空洞など肺の構造破壊がある部分に、嚢胞・空洞壁肥厚や浸潤影が出現してきた場合は、慢性肺アスペルギルス症を疑いましょう。 多くの場合は、菌球も伴うのですが、菌球を伴わず、浸潤影や空洞壁肥厚のみの画像所見の場合があるため、注意が必要です。 1 1カ月以上の咳嗽、喀痰、体重減少などの臨床症状、2 慢性肺アスペルギルス症に矛盾しない画像所見、3 炎症所見、4 抗菌薬に反応性しない、などの臨床所見が診断に必要です。 呼吸機能検査では拘束性換気障害を呈することが多いです。 上記の臨床所見があれば(国際ガイドラインでは3カ月以上の症状持続期間で定義)、あとは、血清・病理・培養のいずれかでアスペルギルスを確認できれば診断が可能です。
(深在性真菌症のガイドライン作成委員会.深在性真菌症の診断・治療ガイドライン2014. 協和企画 2014年 東京 )

アスペルギルスは培養検出率が低く、気管支鏡も困難な場合もあります。
よって、血清診断として、アスペルギルス抗体IgGが、感度と特異度が高く有用で、国際ガイドラインでも診断基準に含まれています。
(David W. Denning et al. Eur Respir J. 2016 Jan;47(1):45-68)

最近は本邦でも使用可能となりました。 ただし、現段階ではアスペルギルス抗体は自費検査となりますので、患者さんには必要性を説明の上、自費検査であることを理解頂いた上で検査を行いましょう。
今後の保険収載が待たれるところです。

このサイトの監修者

亀田総合病院
呼吸器内科部長 中島 啓

【専門分野】
呼吸器疾患