呼吸不全患者で使えるパール: 40-50-60/70-80-90 ルール!
今回は、パルスオキシメーターに関連した内容で、米国で有名な「40-50-60/70-80-90 ルール」を紹介します。
パルスオキシメーターは、動脈血の採血をすることなく、動脈の酸素飽和度が測定できる機械です。
本邦で広く普及しており、指先にセンサーを装着するだけの簡単な操作で、非侵襲的かつ連続的に酸素飽和度および心拍数が測定できます。
パルスオキシメーターにより経皮的酸素飽和度(SpO2)をモニターすることができますが、動脈血酸素分圧(PaO2)との関係は次のようになります。
つまり、SpO2 75%のときは、PaO2 40mmHgに相当し、SpO2 80%のときは、Pa02 50に相当し、SpO2 90%のときは、PaO2 60mmHgに相当するという意味です。
「70」のところだけ、実際は「75%」なので注意して下さい。
覚えやすいため、実臨床で使える公式です。
例えば、救急外来に呼吸不全の患者が救急搬送されてきて、SpO2 75%であればPaO2 40mmHgと予測されるわけです。
通常、「室内気吸入時のPaO260Torr以下の状態」が呼吸不全と定義されますが、SpO2であれば90%未満が呼吸不全を意味するのです。よって、呼吸不全の患者ではSpO2 90%以上を目標に酸素投与を行います。
ただし、パルスオキシメーターは、3%未満の誤差を認め、脈拍の欠如(四肢の低体温、低血圧)や高度の貧血、メトヘモグロビン血症・一酸化炭素中毒では、正確性が失われますので注意しましょう。
救急外来や病棟の急なイベントにおいては、SpO2モニターだけをあてにせず、換気や酸塩基平衡の異常を評価する意味でも、動脈血ガス検査を行う事が大切です。
このサイトの監修者
亀田総合病院
呼吸器内科部長 中島 啓
【専門分野】
呼吸器疾患