第71回日本大腸肛門病学会で高橋知子医師が発表

2016年11月、伊勢市で行われました日本大腸肛門病学会の発表報告その3です。
ワークショップ「肛門機能の諸問題」において高橋知子医師が「女性のQOLに応じた直腸瘤手術, Transanal Anterior Delorme法の検討」について発表しました。

直腸瘤とは骨盤臓器脱の一つであり膣の後壁が突出し、突出部に便が溜まるため残便感や排便障害の原因となる疾患です。日本で主に行われているTension-free Vaginal Mesh(TVM)手術やAnterior Levatorplastyはいずれも経膣的な手術であり、性生活のある女性にとっては手術で直腸瘤は改善しても、夫婦生活が上手くいかないなどの問題点が以前より指摘されています。今回は2012年から亀田総合病院において国内で初めて行ったTransanal Anterior Delorme法22例の検討を発表しました。まだ6ヶ月の短期成績ですが、排便機能の著明な改善が認められ、膣壁への侵襲がなく性的活動のある女性へ考慮した手術として有用であるという発表内容でした。
会場からは、「女性医師ならではの視点だ」と好評な意見や、「肛門の手術でも性機能への影響はあるのでは?」という質問をいただきました。高橋医師からは経膣アプローチに比べてよいが、今後は性機能評価スケールなどを使用してきちんと論文に出していきたいと返答しました。

学会では現在行っている自身の診療や手術の率直な評価を得られるため、毎回勉強になります。またこの学会では毎年少人数ですが、アジアからの参加者もみられます。写真は日本で研修経験のある中国からのドクターです。

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このサイトの監修者

亀田総合病院
消化器外科部長 高橋 知子

【専門分野】
肛門疾患、排便機能障害、分娩後骨盤底障害