第71回日本大腸肛門病学会で八木勇磨先生が発表

2016年11月、三重県伊勢市で行われました日本大腸肛門病学会での発表報告その2です。後期研修医の一人である八木勇磨先生が便失禁に対する排便造影検査の有用性について発表しました。

便失禁は「排便を十分に制御できない状態」をいいます。原因としては内肛門括約筋の機能低下や分娩時の外肛門括約筋の損傷などがあり、肛門内圧検査では低値を示すと言われています。今回、後期研修医の八木勇磨先生の発表したタイトルは「便失禁では排便造影で高率に直腸重積が認められる」でした。「直腸重積」とは、怒責にともなって直腸粘膜がたるみ、折り重なるように変化する病態であり、国際的な便失禁のガイドライン「INCONTINENCE 5Th Edition 2013」でも取り上げられていますが日本ではまだまだ認識が十分ではないのが現状です。肛門内圧検査で正常値であっても直腸重積症が便失禁の原因となりうる患者さまが存在し、手術によって形態的異常である直腸重積と症状である便失禁の改善が得られるという発表であり、便失禁を取り扱う他の施設へ良い刺激を与えられたようです。今回の発表の半年以上前より日頃の業務の合間をぬって臨床研究をコツコツと続けてこられた八木先生、お疲れ様でした。

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このサイトの監修者

亀田総合病院
消化器外科部長 高橋 知子

【専門分野】
肛門疾患、排便機能障害、分娩後骨盤底障害