vol.48 「がん患者のリハビリの退院後の実施率は拠点病院でも24%」

「がん患者のリハビリの退院後の実施率は拠点病院でも24%」(AMED外来がんリハ研究班アンケートより)
AMED(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)の外来がんリハビリの研究班(慶応大学辻先生が班長)で昨年末に実施した、外来がん患者へのリハビリ(外来がんリハ)に関するアンケートの結果が昨晩のNHKニュースで報道されました。関根もこの研究班員としてアンケート作成に関わりましたが、予想通り、外来がんリハの実施率は24%と非常に低率でした。回答施設が半分以下と少数でしたので、回答施設のうちでは24%でしたが、非回答施設は外来がんリハを実施していない施設の可能性が高いことが想定されますので、外来がんリハ実施施設45施設はがん拠点病院全体427施設の"1割"とも解釈可能かもしれません。

今後がん治療成績が向上するにつれて、何らかの身体障害を持ちながら長期に生存する患者が増えます。よって外来通院中のがんリハのニーズが益々高まるでしょう。今回のアンケート結果は、供給体制が圧倒的に足りていない現状が浮き彫りになりました。外来がんリハのバリアとして最も意見が多かったのは、外来がんリハが現在の診療報酬上算定できない点でした。このように、外来がんリハの充実のためには、診療報酬上の施策が必須ですが、一方で、それだけの実施効果が外来リハ介入で得られることをエビデンス(客観的データ)として示す必要があります。このため、この研究班では異なるがん種における外来がんリハプログラムを開発し、これからデータ収集を進めていく段階です。私がこの研究班で担当している仕事は、外来がんリハの普及と啓発です。今後の動向に皆さん注目していてください。

(関根)

このサイトの監修者

亀田総合病院
疼痛・緩和ケア科部長 関根 龍一

【専門分野】
病状の進行した(末期に限らない)癌や癌以外のあらゆる疾患による難しい痛みのコントロール、それ以外の症状の緩和