【活動報告】第1回日本リンパ浮腫学会

3/17は第1回日本リンパ浮腫学会がありました。学会が予想していた以上の当日参加者が集まり、会場には入りきらず、何度もいすを並べ替え、机もなくし、動けないほど椅子を詰めて置きましたが、それでも入りきらない状況に。立ち見も多くホールが混雑しておりました。ランチョンセミナーのお弁当が足りず、あらゆるお弁当屋さん、しまいにはコンビニのサンドイッチも並んでいました。

リンパ浮腫治療に対する関心の高さがみえました。
当科からは、「悪性腫瘍治療後の続発性リンパ浮腫に対する五苓散投与後の効果に関する後ろ向き検討」を発表しました。
リンパ浮腫に対して五苓散を投与する事で主観的評価(患者さんに、有効、無効・不変のどれかにあたるのか言ってもらった)として90.9%が有効、不変9.1%、客観的評価(最大腫脹部位の腫脹率を五苓散開始日と28日後で変化を比較した場合、浮腫減退率:五苓散服用前後の集計左右差÷day28の集計左右差×100%とし、30%未満を軽度改善、30%以上60%未満の改善を中等度、60%以上を著明な改善とした)は、改善なし18.2%、軽度33.3%、中等度18.2%、著明:27.3%改善でした。興味深い症例として、主観的評価と客観的評価が一致していない症例が3例あり、主観的には不変でしたが、客観的には著明に改善している症例が1例、主観的には有効でしたが、客観的評価では改善がないケースが2例ありました。客観的評価で改善がない2例は、線維化が軽減し、関節可動性がみられることでADLが改善したことが挙げられます。

研究の症例数が少ないこと(8例)、後ろ向き研究であること、先行研究が少なく、測定方法の妥当性の検証が行われていないことが課題としてあげられます。リンパ浮腫には有効な薬物療法が確立していないため、リンパ浮腫に対する五苓散の効果についてさらに質の高い研究が必要であると考えます。
(主研究者は江川先生です。発表内容も江川先生が作られたものと代役として共同研究者の千葉が発表しました。薬剤のことなど聴かれたりしたらどうしよう・・・西洋医学の中でどのような質問や指摘されたら・・・と思ってどきどきしておりましたが、好意的に受け止めて下さいました。ホッとしました。)
学会では、リンパ浮腫の診断について、リンパ節郭清手術の事など、医師、看護、リハ、研究者を含めて様々な見解が話されました。まだまだリンパ浮腫治療において、エビデンスが少ないものが多いですが、みんなで確立して行くために研究をして行きましょうと、とても有意義な一日でした。

(千葉)

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このサイトの監修者

亀田総合病院
疼痛・緩和ケア科部長 関根 龍一

【専門分野】
病状の進行した(末期に限らない)癌や癌以外のあらゆる疾患による難しい痛みのコントロール、それ以外の症状の緩和