【活動報告】 近隣病院へのアウトリーチ活動 困難な事例を通してケアについて考える会開催しました

今夜は第4回目のアウトリーチ活動です。
本日も困難な事例を通してケアについて考える会です。
今回の困難事例は、脳梗塞後の右片麻痺、失語症、嚥下困難の為、経鼻経管栄養、尿閉があるため尿道留置カテーテルが挿入されている患者さまが、管類を引っ張り自己抜去抜を繰り返すため、したくはない抑制をしないといけないこと、コミュニケーションが取れないため患者さまの気持ちを理解してあげられないこと、が困難事例としてあげられました。

さて事例検討です。いつものように、1.何が問題か、2.それがどのように問題なのか、3.誰の問題か、に分けて考えていきました。
今回、今までの困難事例と少し違うのは、1つひとつの言葉の使い方、捉え方でした。コミュニケーションができない、と言いかたをする一方で、いつも穏やかなのに、嫌がることは抵抗する、頷いたり、首を横に振る、こちらの言っていることは理解してくれている、とのこと。これはコミュニケーションはとれているのではないかと私達は思いました。また、患者さまの嫌がる姿を、見て、嫌がっている、抑制は出来るだけしないように工夫をするなど、十分気持ちをくみ取り何かしようと行動にうつしているのではないかなぁ〜と私達は思いました。コミュニケーションは、言葉だけのやり取りではなく、非言語的メッセージや、身振り手振りもコミュニケーションの1つです。初めから失語症だからコミュニケーションは難しい、と決めつけず、その患者さまの持っている、残っている機能を家族も含めて引き出すことが大切です。実は残された機能を引き出すことはやれているのに、自分達が使う言葉によって、出来ていない、やれていない、と決めつけていたのではないか、と私は感じました。

他にも色々工夫して何とか苦痛なく穏やかに過ごして欲しいと言う暖かい気持ちが感じられました。患者さま、ご家族は大切にしてくださっていることを感じておられるのではないか、と私達は思いました。私たちも暖かい気持ちになりました。
さて、来月はどのような困難事例が...。またご報告させていただきます。
(もし、他の病院、施設で、困難事例について一緒に考えててみたい、と言うご依頼があれば伺わせていただきます。)

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このサイトの監修者

亀田総合病院
疼痛・緩和ケア科部長 関根 龍一

【専門分野】
病状の進行した(末期に限らない)癌や癌以外のあらゆる疾患による難しい痛みのコントロール、それ以外の症状の緩和