【活動報告】緩和ケアアウトリーチ活動

8/21は今年度3回目の地域病院での緩和ケア勉強会でした。
今回のテーマは「医療者のストレスマネジメント〜ヒヤリ・ハットに遭遇したスタッフへの声かけ〜」でした。

架空事例 86歳代女性
入院病名:誤嚥性肺炎、左脳梗塞後(失語・右麻痺)、心房細動、便秘症
併存症:II型糖尿病 心筋梗塞(ステンと留置後) 認知症(HDS-R:18点)
既往歴:高血圧 両膝関節置換術後
内服薬:アムロジン、ベシケア、カロナール、マグミット・センノシド、ジャヌビア

3週間前に、発熱・意識障害で救急搬送。誤嚥性肺炎と診断され、絶食、補液、抗生剤投与し状態は安定し、転院調整中。
現在は車いす座位はかろうじてとれ、内服はとろみ水で可能、食事は全介助できざみ食を半量摂取している状況。

とある日の夕食時・・・
ふだんと変わらない様子で食事を介助で摂取。苦しそうな表情を一瞬するが、すぐに笑顔に戻る。5割程度摂取したところで、呼吸が急に荒くなり・・・弱い咳嗽・嘔吐のような仕草がみられたので、介護助手さんは看護師さんを呼ぼうとナースコールを押した。しかし、そのとき看護師は別の患者の対応中で、すぐに駆けつけることができず・・・数分後にかけつけたところ患者さんは顔面蒼白だった。
その後医師を呼び、15分後に駆けつけ処置をするが意識がもどらないまま同日午後10時ころ永眠された。

このような事例で考えてみましょう。

  • この状況はどのように防げたでしょうか?
  • この状況を担当したスタッフの思いは?
  • このような状況を経験したスタッフにどのように声をかけますか?

をグループごとにお話してもらいました。さて、みなさんならどう考えますか?

自分がこのような場に居合わせる可能性がありますよね。だれもこんなことに遭遇するなんて考えていません。でも現実に起こることがあります。そのような状況をどう考えていくか・・・今回のテーマでした。
どんなにリスク管理を行っても防ぐことが難しいこともあります。
「できることがあったか」という振り返ることも大切ですが(今回は、患者さんやご家族の思いについては横においておきます。)、担当職種それぞれの気持ちになって、このような場面に遭遇した時に感じる気持ちに正直に向き合い、その気持ちを伝える(「つらかった」「怖かった」など)こと(聞くこと)で次に伝える言葉が見つかるかもしれません(「大変だったね。」「良く対応したよ」と心からいえる)。声をかけることもはばかられるくらい悲しい気持ちを持っているかもしれません。そのときは、そっと見守る・・・これも大切なスタッフケアなのかもしれません。
なかなか難しいですが、「安全に話せる場」をつくることができるといいですね。(今回も答えはありません。)

(千葉)

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このサイトの監修者

亀田総合病院
疼痛・緩和ケア科部長 関根 龍一

【専門分野】
病状の進行した(末期に限らない)癌や癌以外のあらゆる疾患による難しい痛みのコントロール、それ以外の症状の緩和