【活動報告】第4回院内緩和ケアレクチャー

9/7(木)今年度第4回院内緩和ケアレクチャーの報告です。
今回は、前回の「みとりがみえる」シリーズの後半部。30名弱の、多職種(医師、看護師、リハビリスタッフら)の参加者が忙しい業務の合間に集いました。

看取り期に「点滴をしなくていいんですか?」、
「息苦しそうなんですけれど、大丈夫なんですか?」、
「あと、どのくらいなんですか?」という、
よくある?家族からの質問にどう対応するか、について講義の後、小人数のグループディカッションで話し合いました。このような場にいつも遭遇されている訪問看護師のコメントに、参加者一同納得する場面もありました。

講義の最後に、研修医の先生から、ちょっといいでしょうか?と質問。
「最期に立ち会うのは人生の大先輩ばかり。若造で人生経験の浅い自分のようなものが、この患者さんの大切な最期を看取るようなことで本当によいのだろうか、と思うことがあります。私にとって死を真近に控えた患者さんに応対することは正直怖いです。皆さん(緩和ケアを専門にしている人)にとって、死は怖くないのでしょうか?」という直球の質問。
緩和ケアのスタッフのご返事は、「看取りに関する知識や技術は、確かに年数を重ねると確実に身に付きますから、その点では、瀕死の方やそのご家族に対して、冷静さを保ちある程度適切に応対することは可能となります。でも、患者さんやご家族は皆さん各々多様であり、どのような最期の時間となるのか、不確実なことが非常に多く、私たちの予想外の出来事が起ることも珍しくありません。ですので、いつまでたっても、看取りに応対することは大変な緊張を伴いますし、怖くないといったら嘘になります。"死に逝く人は常に私達残される者の教師"であり、私たちは死に逝く人の前では、"何がこの場で正解なのか分からない(I don't know)"というスタンスを心にとどめ、関わることが重要です。ここでは常に初心(なぜ私は医療者となったのか?)を想い起こすことが大切です。」
このような真摯な質問を下さる研修医の先生がいる限り、明日の医療は大丈夫!と、緩和ケアスタッフ一同、笑顔でその日を終えたのでした。

最後に、この2回の"みとりがみえる"レクチャーを主体的に内容作成に関わり、緩和ケアローテーションが終わっても関わり続けてくれた、王謙之先生(Jr2)、坂井雄貴先生(KFCTSr2)へ、素晴らしい心のこもったレクチャーを作って下さり、ありがとうございました。

(関根)


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このサイトの監修者

亀田総合病院
疼痛・緩和ケア科部長 関根 龍一

【専門分野】
病状の進行した(末期に限らない)癌や癌以外のあらゆる疾患による難しい痛みのコントロール、それ以外の症状の緩和