vol.11 Multinational Association of Supportive Care in Cancer (MASCC) Annual Meeting

 今回は、現在開催されているMultinational Association of Supportive Care in Cancer (MASCC) Annual Meetingからの報告です。血液がんと固形がんを診療する2群の医師を対象に、終末期における診療スタイル(どこまで積極的な治療を続けるべきかと考えているか)等について比較した興味深い研究です。
 PS(performance status)4で予後予測が1ヶ月以下の患者であっても積極的治療を続けるべきであると考えている医師の割合は血液がんを診る医師の方が固形がんを診ている医師に比べて有意に高い結果でした。他にも、血液がんを診る医師の方は、固形がんを診ている医師と比べて、終末期に関する話し合いに苦手意識をもつ割合が高く、患者をホスピスに紹介することを快く思わない割合が高く、抗がん治療中止に敗北感を抱きがちであることなどを示唆する結果となっています。
 私ども緩和ケア従事者は、固形がんであれ、血液がんであれ、あるいは、非がん患者であれ、すべての予後不良な患者さんに適切な緩和ケアを提供したいと願っていますが、血液がんは固形がんと比較して、そのがん種に従事する医師の診療スタイルの面からも、緩和ケアを同時平行で行うことがより難しいという日頃の印象が、この研究で実証されています。今後のさらなる研究が待たれます。

(関根)

http://www.medscape.com/viewarticle/848289

このサイトの監修者

亀田総合病院
疼痛・緩和ケア科部長 関根 龍一

【専門分野】
病状の進行した(末期に限らない)癌や癌以外のあらゆる疾患による難しい痛みのコントロール、それ以外の症状の緩和