これまでも、「骨の健康」におけるカルシウムの重要性について何度かお話してきました。
今回は、血中カルシウム濃度の調整についてお話しします。
ご存じのようにカルシウムは、私たちの身体にとって重要なミネラル(電解質)の一つです。
カルシウムは主に食事から摂取され、小腸で吸収され、腎臓から排泄されます。
カルシウムの総量は体重の2%程度と言われています。体重50kgの人でしたら、体内には約1kgのカルシウムが存在することになります。想像していたより少ないでしょうか?
約1kgのカルシウムの99%(990g)は骨に蓄えられています。骨は体を支えるための骨格を形成するばかりでなく、カルシウムの貯蔵庫としても重要な役割を果たしています。
血液中に存在するカルシウムは10g、総重量のわずか1%です。しかしこの1%が極めて重要な働きをしています。筋肉の収縮や神経伝達、血液凝固などのさまざまな整理機能に関与しています。
血液中のカルシウム濃度の正常値は8.8~10.4mg/dL、この値が高くなりすぎたり低くなりすぎたりすると、筋肉や神経が正常に働かなくなってしまいます。
血中カルシウム濃度の調節を見てみましょう。
血中カルシウム濃度が低くなったからと言って、食事からカルシウムを吸収されるのを待っていては時間がかかってしましますね。
血中カルシウム濃度が低下すると、カルシウム貯蔵庫である「骨」からカルシウムが血中に供給されます。
逆に血中カルシウム濃度が高くなった場合には、血液中のカルシウムを骨に戻したり、腎臓から排泄したりして調整しています。
この血中カルシウム濃度を調整しているのが、次回お話しする副甲状腺ホルモン(PTH)と甲状腺から分泌されるカルシトニンというホルモンです。
亀田総合病院 脊髄脊椎外科 久保田基夫