肝機能障害と骨粗鬆症

投稿日:2023年8月28日

「続発性骨粗鬆症」と関連して、ほかの疾患が骨代謝に与える影響を見てゆきましょう。
まず肝機能と骨粗鬆症です、どんな関係があるのでしょうか?

皆さんもご存じのように、肝臓は重要な働きを持つ臓器の一つ、解毒作用、栄養素の代謝、グリコーゲンやミネラルなどの貯蔵、免疫機能、血液凝固に関与するタンパクの合成など、たくさんの重要な機能を持っています。
これらの機能のほかにも、肝臓にはさまざまな機能があります。

ビタミンDの活性化も肝臓の重要な機能の一つです。
肝機能障害が進行すると、肝臓でのビタミンDの活性化がうまく行われなくなります。その結果、カルシウムの吸収や骨形成が低下し、骨粗鬆症のリスクが高まることが知られています。
肝機能障害がある場合には、骨粗鬆症の治療に用いられる薬剤の代謝がうまく行われなくなり、薬の副作用発現のリスクが高まります。
特に、ビスホスホネートなどの骨粗鬆症治療薬は、肝臓に負担をかけることが報告されています。肝機能障害がある場合には、治療薬の種類や投与量を慎重に選択する必要があります。

肝臓は「沈黙の臓器」ともいわれ、普段その働きをあまり気にすることがありませんが、骨の代謝にとっても大切な働きをしているんですね。

亀田総合病院 脊髄脊椎外科 久保田基夫

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