エジプトのミイラの話

投稿日:2023年6月26日

古代エジプトのミイラには骨粗鬆症が認められるとの報告があります。
古代エジプト人の平均寿命は高くなかったことから、骨粗鬆症が認められる原因はわかっていませんでした。
しかし、近年の研究によると、古代エジプト人の生活習慣や食生活が、骨粗鬆症の発症の一因であった可能性が指摘されています。
古代エジプト人(ミイラとして埋葬されるような支配階級の人たち)は太陽の熱を避けるために長時間室内で過ごしていたため、ビタミンDが不足し、その結果、骨粗鬆症の発症リスクが高まった可能性があると指摘されています。
また、肉や魚をあまり食べなかったため、カルシウムやビタミンDが不足した可能性があるとも言われています。
ミイラとして埋葬された遺体はもちろん当時の特権階級、食物をとるために戸外に出る必要はなく、体を動かす必要はなかったのかもしれません。
まだまだ分からないことはたくさんありますが、縄文人と古代エジプト人の比較、ちょっとした皮肉ですね。
骨粗鬆症予防に関する限り、縄文人や弥生人の生活の方が優れていたかもしれません。
移動には車を使う、一日中椅子に座りっぱなし、ファーストフードで済ませてしまう、もしかするとこれって、古代エジプトだけではなく、現代の私たちの生活にも言えることかもしれません。

亀田総合病院 脊髄脊椎外科 久保田基夫

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