高カルシウム血症と低カルシウム血症

投稿日:2023年6月12日

カルシウムは骨を丈夫にするために必要なだけではありません。筋収縮、神経伝導、ホルモン分泌、血液凝固などにもカルシウムが必要です。
血液中のカルシウム濃度は8.8~10.4mg/dlに保たれていますが、このバランスが崩れると高カルシウム血症や低カルシウム血症をきたします。
高カルシウム血症は、血液中のカルシウム濃度が正常値よりも高くなっている状態を指します。
主な原因としては、原発性副甲状腺機能亢進症、骨転移性骨腫瘍、慢性腎不全などがあります。
高カルシウム血症の症状として、消化器症状(嘔吐、便秘、腹痛)、尿路症状(多尿、腰痛、尿石症)、神経筋症状(筋力低下、意識障害、痙攣)などが現れることがあります。
ビタミンDを服用されている方で、このような症状があったら、早めに血中カルシウム濃度を測定してもらってください。
原疾患の治療が一番大切ですが、多めの水分補給や利尿剤などが使用されます。
骨粗鬆症薬にはカルシウム濃度を上げるものと下げるものがあります。
自己判断で増やしたり中止したりせず、必ず担当の医師に相談してください。
低カルシウム血症とは、血液中のカルシウム濃度が正常値よりも低くなっている状態を指します。
主な原因としては、副甲状腺機能低下症、慢性腎不全、ビタミンD欠乏症などがあります。
低カルシウム血症には、神経筋症状(手足のしびれ、痙攣)、心臓症状(不整脈、心筋の収縮力低下)、骨代謝異常(骨粗鬆症、骨折)などが現れることがあります。
治療は原因に応じて、カルシウム剤やビタミンD製剤の投与、原疾患の治療が行われます。

亀田総合病院 脊髄脊椎外科 久保田基夫

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