第7話 骨粗鬆症の定義と診断

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 骨粗鬆症は「骨強度の低下を特徴とし、骨折のリスクが増大しやすくなる疾患(2000年、米国国立衛生研究所(NIH)コンセンサス会議)」と定義されました。骨強度は骨密度と骨質の2つの要因からなり、「骨強度=骨密度+骨質」と定義されています。そして骨強度のうち70%が骨密度により、残り30%は骨質により説明できるとされています。
 骨密度は皆さんよくご存じと思います。医療機関により異なりますが、レントゲン撮影や超音波装置を使って簡単に測定することができます。「骨質」と言われても、ピンとこない方もいらっしゃるのではないかと思います。現在の医療技術では骨質そのものを評価する方法が確立していません。具体的には骨の微細構造、骨代謝回転(骨代謝マーカーのコラムでお話しします)、微小骨折(マイクロクラック)などが骨質に影響します。
 骨折の患者さんをたくさん見てきましたが、骨密度だけでは説明できない例もたくさんあります。特にステロイド治療や腎機能障害のある続発性骨粗鬆症の患者様では、骨密度は良いのに骨折を繰り返す方がいらっしゃいます。このコラムを読まれている方は、今の段階では「骨の丈夫さは骨密度だけでは決まらないんだ。臨床的には測定することはできないけど、骨質という要素も関係しているらしい。」と理解しておいてください。
 骨粗鬆症の診断はまずは鑑別診断が重要です。糖尿病や腎不全などの病気、ステロイドや抗がん剤などの薬物使用、脳卒中などによる寝たきり状態など、さまざまな病気や病態が原因となって骨がもろくなることがあります。これを「続発性骨粗鬆症」と呼んでいます。続発性骨粗鬆症については改めて別のコラムでお話しします。
どんなにいろいろ調べても、加齢以外に原因が見つからないものを「原発性骨粗鬆症」と呼んでいます。骨粗鬆用というとまずイメージされるのは、高齢女性の骨粗鬆症かと思います。これは原発性骨粗鬆症の中の「閉経後骨粗鬆症」に分類されています。その他に「男性骨粗鬆症」「特発性骨粗鬆症(妊娠後など)」が原発性骨粗鬆症に分類されています。
 骨粗鬆症の診断は少し複雑です。下記のように脆弱性骨折の有無と、骨密度の値をもとに決定します。

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2022年6月13日

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