第6話 骨粗鬆症に関わる数字

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 皆さんもご存じのように、日本人の人口は減少傾向にあります。2022年1月時点の人口は、1億2000万人を少し下回ってしまいました(総務省統計局)。ちょっと心配です。
 骨粗鬆症の患者さんはどのくらいいるのでしょうか? 2005年に行われた大規模なコホート調査の結果から計算すると、全国の骨粗鬆症患者は1280万人(男性300万人、女性980万人)と推定されています。日本の人口と比較すると、10人に一人が骨粗鬆症と言うことになります。
 「10人に一人か、だったら私は大丈夫。」と思った方はいらっしゃいませんか?実はそう簡単ではありません。皆さんもご存じのように、骨粗鬆症の割合は、加齢とともに急速に増加します。そして、だれもが年をとることを避けることはできません。
 先ほどのコホート調査は、40歳以上の住民を対象としたものです。これによると骨粗鬆症の有病率(病気を持つ人の割合)は、腰椎で測定した場合には男性3.4%、女性19.2%、大腿骨で測定したな場合には男性 12.4%、女性26.5%という結果でした。
 骨粗鬆症が原因で引き起こされる新規椎体骨折は年間980,000件、そして大腿骨骨折は175,700件と報告されています。これは30秒に一人が椎体骨折を、3分に1人が大腿骨骨折を起こしていることになります。他人事ではありませんね。
 「一次骨折予防」と「二次骨折予防」という言葉があります。二次骨折予防とは一度脆弱性骨折を起こしたことがある人に対して、2回目以降の骨折をきたさないように治療を行うことを指しています。一回でも脆弱性骨折をきたしたことがある人は、2回目の骨折をきたすリスクがさらに高くなるといわれています。二次骨折予防は極めて重要です。
 では、骨折された方は皆、骨粗鬆症の治療を受けていらっしゃるのでしょうか?残念なことに、ある調査によると、骨折した患者様の中で骨粗鬆症の治療を受けていた方は20%以下でした。責任は医療機関にもあります。ほとんどの場合骨折の治療は急性期病院で行い、骨粗鬆症の治療はかかりつけの先生にお願いしてしまいます。医療機関の連携が取れていないと、骨粗鬆症治療の重要性が伝わりません。私たちが「骨粗鬆症リエゾンサービス」を通じて、周辺の医療機関と医療連携を進めている理由はここにあります。

2022年6月6日

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