第10話 火星から帰ったら

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 このところちょっとお説教くさい話が続きましたね。この辺でコーヒーブレイクとしましょうか。
 「アポロ計画」という言葉は皆さんも聞いたことがあると思います。アメリカ航空宇宙局(NASA)による人類初の月への友人宇宙旅行計画です。人類が初めて有人宇宙船により地球以外に到達した快挙、1961〜1972年にかけて実施され、全6回の有人月面着陸に成功しています。

 〜ボックラのう〜まれてくる、ずっとずっとま〜えにはもう、アポロ11号は月に行ったっていうのに〜
とポルノグラフティーは歌っていましたね。

 私の生まれてくる、ずっと前じゃないだな、これが・・・。
 アポロ11号が月面に到着したのは1969年、テレビで放映されたのはもちろんですが、いろいろな雑誌が次々と特集を組みました。「すごいな?」、私はアサヒグラフという写真雑誌に掲載された、月面着陸のカラー写真をいつまでも眺めていたことを思い出します。何しろ「全ページカラーによる緊急特集号、人類初の月着陸」ですから。
 アームストロング船長が月面に最初の一歩を踏み出す場面を、テレビで見た方もいらっしゃると思います。月の重力は地球の1/6、軽々とジャンプする姿が目に焼き付いているのではないでしょうか。月までの距離は約38万km、8日間の宇宙旅行でした。

 次に目指すは火星。米国は2030年代の実現を目指して国際協力を呼びかけています。 NASAは月を周回する基地を建設する予定で、ここに火星に向かう宇宙船をドッキングさせ、飛行士が乗り込み出発させる構想のようです。
 技術開発や開発費用は優先課題です。それに滞在期間中の食料や健康管理も、もちろん検討されていることと思います。火星までの距離は年により変化しますが、火星が最接近した年でも5,759万km(2018年7月)、往復に要する時間は2年以上と計算されています。
 さて、ひねくれ者の私が、ちょっとうがった見方。無重力空間では骨密度が低下することが知られています。一月あたり-1〜2%、過去のデータでは半年の滞在で20%減少した例もあるようです。火星旅行を終えて無事地球に帰還、タラップを降りたとたんに地球の重力に耐えかねて、大腿骨がポキッなんてことはないんだろうか?マンガみたいだけど、ちょっと心配になりますね。
 ヒントはクマかもしれません。クマは半年近く冬眠しますが、冬眠中に筋肉や骨塩量が低下しないことが知られています。宇宙旅行中の骨密度低下を予防することができるのではと期待されています。メカニズムがわかったら、骨粗鬆症の治療にも応用できるかもしれません。

2022年7月4日

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