第1話 あなたの骨は大丈夫?

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 「私は大丈夫!」と思っていませんか?
 骨粗鬆症は「骨強度が低下し、骨折のリスクが高まる疾患」です。しかし、実際に骨折が起こるまでは、ほとんどの人は自覚症状がありません。骨粗鬆症が「沈黙の疾患」と呼ばれるゆえんです。
 「だって、年をとったら、骨が弱くなるのはしかないんじゃない?」という声も聞こえてきそうです。その通りです。年齢を重ねると、多くの人の骨量は減少し、骨が折れやすくなります。
 加齢とともにすべての臓器の機能は少しずつ低下します。これは「老化現象」と呼ばれています。その中には純粋に加齢に伴う機能低下(生理学的老化=避けられない老化)もあります。ここで注意が必要なことは、加齢と疾病(病気)との関連です。年を取ると病気にかかりやすくなります。しかし、本来加齢と疾病は分けて考えるべきです。加齢は防ぐことができませんが、病気は予防や治療が可能です。皆さんが老化現象(=年だから仕方がない)と考えられているものの中には、病気を合併していることによる機能低下がたくさん含まれているのではないでしょうか。
糖尿病を考えてみましょう。糖尿病は脳卒中や心筋梗塞の原因となったり、腎機能を低下させたりします。しかし、糖尿病に対して正しい知識を持ち、食生活やライフスタイルを変えることにより、糖尿病を予防し成人病の発症を抑えることができますね。
骨粗鬆症も単なる加齢現象ではありません。骨粗鬆症に対して正しい知識を持ち、食生活やライフスタイルを変えることにより、骨密度の低下を予防し骨折を抑えることができます。
 あなたの周りにいる人を思い出して下さい。テレビに出演されている方でもかまいません。そういえばあの人、最近元気がないな、という方もいらっしゃるかもしれません。でも、スポーツを楽しんだり、ボランティアをしたり、現役で仕事を続けていたり、高齢になってもいつまでも元気でいらっしゃる方も沢山いますね。
この違いはどこから来るのでしょうか?そして、あなたはどのような生活を送りたいですか?あなたの骨は大丈夫でしょうか?
これから何回かに分けて、骨粗鬆症の予防や治療に大切な話から、時にはちょっと脱線して「へ?、そうなんだ。」って思ってもらえるような雑学まで、いろいろとお話ししてゆきたいと思います。楽しみにしてくださいね。

2022年5月2日

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