抄読会

今週の抄読会は、医局員の井上先生に下記論文を読んで頂きました。血清PLA2R抗体が、腎生検なしで膜性腎症の診断ができるのか?という内容です。
腎生検で膜性腎症と診断した症例で、血清PLA2R抗体のELISA法、間接蛍光抗体法の両測定法を後ろ向きに検討しました。
結果PLA2R抗体陽性例では、特にGFR60以上の症例では全例膜性腎症で、腎生検ではマネージメントを変更するような有用な情報が得られなかったとのことでした。

個人的には、膜性腎症に対してはシクロスポリンを使用することが多いため、腎生検で細小血管障害の評価をすることで、腎生検を臨床に還元できるように、と考えております。

現在日本では、血清PLA2R抗体の測定は保険診療外(1回25000円)ですが、ELISA法で測定できます。膜性腎症を疑う患者様で、何かしらの理由で、腎生検をできない場合に測定をすることが有用と考えます。
非常に勉強になりました。ありがとうございました。

Noninvasive diagnosis of primary membranous nephropathy using phospholipase A2 receptor antibodies

このサイトの監修者

亀田総合病院
腎臓高血圧内科部長 鈴木 智

【専門分野】
腎疾患全般、特に腎炎、腎病理