抄読会

今週の抄読会は、初期研修医1年目の青島先生と指導医の長岡先生に下記論文を読んでいただきました。
これまで、バンコマイシンの腎障害は、近位尿細管内のミトコンドリアの障害による機序が考えられていましたが、本論文ではcast nephropathyの機序が示されました。また、マウスを使った動物実験では、バンコマイシン注射した40分後にcastの形成を認めました。
また、以前当科からBMC nephrology 2018年に腎生検したバンコマイシンによる腎障害のcase reportもでております。本論文でも、THP染色でcastを確認しております。
このような機序があるため、バンコマイシン中毒の場合は透析療法を考慮することは重要ですし、以前糖尿病性腎症で治研をしていた活性酸素を除去するNRF2を活性化するバルドキソロン酸メチルのような薬では、効果を示さないのかもしれません。
非常に勉強になりました。ありがとうございました。

Vancomycin-Associated Cast Nephropathy

Biopsy-proven vancomycin-induced acute kidney injury: a case report and literature review

このサイトの監修者

亀田総合病院
腎臓高血圧内科部長 鈴木 智

【専門分野】
腎疾患全般、特に腎炎、腎病理