血清 シスタチンC

血清のシスタチンCは、腎機能を評価する1つの指標となります。CKD診療ガイド2012にシスタチンCによるeGFR推算式が発表されました。シスタチンCは、クレアチニンとは異なり、炎症、性差、筋肉量、などの影響はでづらいです。当院では、院内で測定しており、当日に結果がでます。しかし、甲状腺機能異常やステロイド、シクロスポリンなどによりシスタチンCの値に影響することが知られております。
本日血清cre上昇で紹介となった患者様が、cre eGFRとシスタチンC eGFRが乖離しておりました。cre eGFRがシスタチンC eGFRよりかなり低く、またLDL200超え、CK1000台、AST軽度上昇ということをヒントに重症の甲状腺機能低下症を診断しました。今回のcre上昇はmyopathyによる偽性AKIと考えられました。
甲状腺機能亢進症は、逆にシスタチンCが上昇し、乖離しますが、シスタチンCとcreの乖離で甲状腺機能亢進症を診断したケースの経験もあります。

以上のように、シスタチンCは正確な腎機能評価以外に役に立つことがありますので、覚えておいてよいと思います。

このサイトの監修者

亀田総合病院
腎臓高血圧内科部長 鈴木 智

【専門分野】
腎疾患全般、特に腎炎、腎病理