尿細管間質性腎炎の診断

まだ5月は終わっておりませんが、約2ヶ月で腎生検(移植腎生検を含め)数は20件を超えており、多い件数を継続しております。
その中で、尿細管間質性腎炎の診断は改めて難しいと思いました。診断のゴールドスタンダードは、腎生検でありますが、施行できない方がいます。
蛋白尿、血尿が乏しく、尿細管障害マーカー(尿中β2MG、α1MG)の高値で疑うことが多いですが、今月の腎生検で、尿細管障害マーカーが高くない肉芽腫性尿細管間質性腎炎疑いの患者様がいて、驚きました。尿細管炎があまり強くないからかもしれません。また、尿細管障害マーカーが高くない遺伝性尿細管性疾患疑いの患者様もいました。

採血、尿検査でもう少しわかればいいなと思っていたところで、このような論文がありました。

Urine TNF-α and IL-9 for clinical diagnosis of acute interstitial nephritis

尿中TNFα、IL-9がAcute interstitial nephritisの診断に有用であるという論文です。原因については、言及しておりませんが、非常に勉強になりました。
まだ臨床現場では測定できないため、尿細管間質性腎炎はCRPが高いこともあり、これらのバイオマーカーが血中の炎症反応と関係しているかを知りたいところです。

このサイトの監修者

亀田総合病院
腎臓高血圧内科部長 鈴木 智

【専門分野】
腎疾患全般、特に腎炎、腎病理