抄読会

今月は、初期研修医1年目の槇田先生がローテートしてくださり、抄読会で、先月NEJMに掲載されたRestriction of Intravenous Fluid in ICU Patients with Septic Shock CLASSIC trialを読んでくださいました。近年、ICU領域においても過剰輸液の是非が問われております。

今回海外のICUで下記PICOのRCTが行われました。
P:敗血症性ショックでICUに入院中の患者
I:制限輸液療法をした群
C:標準輸液療法を行った群
O:無作為化後90日以内の死亡率が低下するか

対象;18歳以上、敗血症性ショック(感染+MAP 65mmHgを保つために血管収縮薬/強心薬の持続静注+血漿乳酸値がスクリーニング3時間前までに2mmol/L以上)、スクリーニング前の24時間に少なくとも1Lの輸液を受けている、
ショック発症から12時間以内の患者をスクリーニングして割り付けました。
結果は、主要評価項目 無作為化後90日以内の死亡 制限群764例中323例(42.3%) vs 標準群781例中329例(42.1%)差を認めず、
副次評価項目 ICUで1つ以上の重篤な有害事象(脳虚血、心筋虚血、腸虚血、四肢虚血)、AKI Stage3(修正KDIGO)の発症患者数、ICUで晶質液投与により1つ以上の重篤な副作用を呈した患者数、90日目に生命維持装置(循環器系、侵襲的人工呼吸、腎代替療法)を使用せずに生存した日数、90日目に院外で生存した日数 いずれも差を認めませんでした。
Discussionした内容としては、ランダム化前に両群ともに約3Lの輸液していたため、純粋な蘇生輸液を制限した研究ではないのでは、ということや、体重中央値が76-78kgと日本人の体格より多いことがどうか、ということがあがりました。
輸液制限をしても生命予後は変わらなかったですが、過剰輸液を避けることを考える上では、とても勉強になりました。
槇野先生、ありがとうございました。

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このサイトの監修者

亀田総合病院
腎臓高血圧内科部長 鈴木 智

【専門分野】
腎疾患全般、特に腎炎、腎病理