ベテラン腎臓内科医と若手病理医による腎病理徒然日記(1)

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ベテラン腎臓内科医 メサさん:一応腎炎腎病理がサブスペの疲れている腎臓内科医
若手病理医 シパ子さん:色々なことに興味を持ち、腎病理も好きな女性病理医

2021/9/2 カンファレンス IgA腎症 (1)

若手:今日の症例は何ですか?

ベテ:診断は、IgA腎症だけど、どう?面白くない?

若手:PAS染色で、どの糸球体をみてもメサンギウム・傍メサンギウムを中心に領域に沈着物がべたべたと目立ちますね。IFではIgAが強陽性で、EMでは高電子密度沈着物が著明です。IgA腎症で良いのでは?

ベテ:診断は、 IgA glomerulonephritis, M1E0S0T0C0(Oxford分類), Hgrade I Cとしました。でも、それでは面白くないよね。IgA腎症の組織像は多彩で、このように沈着物がびまん性に著明にみられること症例もあります。沈着が目立つタイプは小半月体、分節性硬化が目立たない印象がありますね。

若手:それって、どこに書いてありますか?

ベテ:経験と耳学問かな。ループス腎炎でもwire loopだらけの症例もそうだからね。

若手:なる。(他の疾患を持ち出され、若干騙された気がする、、、)

ベテ:念のため、IFでkappa、lambda追加しようかな。

若手:

ベテ:普通のIgA腎症は、lambda優位だから。

若手:PGNMID (Proliferative glomerulonephritis with monoclonal immunoglobulin deposits)?

ベテ:鋭い!けど、そこまでは考えていないかな。MPGN likeやhump likeな沈着物があれば、PGNMIDの可能性があがるかな。技師さん、ごめんなさい、て感じ。あと、IgA腎症は分節性病変から糸球体硬化し、その後尿細管間質、血管が障害されるが、こういう症例は、分節性病変がなくても、尿細管→糸球体硬化していく印象があります。

若手:へ〜、本当ですか???

ベテ:わからない。けど、Oxfordだけで終わったら、面白くないよね。

若手:確かにです。勉強になります先生〜。(けど、調子が良いな。)

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次回に続く、、、

このサイトの監修者

亀田総合病院
腎臓高血圧内科部長 鈴木 智

【専門分野】
腎疾患全般、特に腎炎、腎病理