Beyond the Guideline

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EBM

キーワード

EBM 5steps、情報検索、カテーテル関連尿路感染症(CAUTI)、エビデンスとEBM

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○2017年9月21日、安房地域医療センターにて合同ポートフォリオ勉強会が開かれた。症例は子宮癌術後・放射線治療後の90代女性。神経因性膀胱があり膀胱カテーテル長期留置中で、カテーテル関連尿路感染症(CAUTI)を反復している。なんとかしてCAUTIを減らす方法はないだろうか。

ガイドラインを調べてみるも、カテーテルを早期抜去する以外にCAUTIを予防する確立したプラクティスはないという結論に至る。ならば、わが国でしばしば行なわれる抗菌薬の予防投与や、膀胱洗浄、カテーテルの交換頻度をあげるといったプラクティスには有用性・妥当性があるのだろうか。ガイドラインの元となった文献にまで遡り、批判的吟味のうえ患者への適応を勘案する。研究デザインの妥当性はどうか。有意差がでなかった研究なら、βエラーの可能性はないか。ガイドラインの推奨と、元となった論文の科学的妥当性との間に乖離はないか。専門医はこうしろと言うが、その根拠はどこにあるのか。

ガイドラインを鵜呑みにせず、エキスパートオピニオンの裏をとる臨床家としての姿勢から、初学者にもやさしいエビデンス検索の方法論まで、実に深い学びを得られたポートフォリオだった。

このサイトの監修者

亀田ファミリークリニック館山
院長 岡田 唯男

【専門分野】
家庭医療学、公衆衛生学、指導医養成、マタニティケア、慢性疾患、健康増進、プライマリケア・スポーツ医学