摂食障害の一例

エントリー項目:

メンタルヘルス

Key word:

摂食障害、行動変容、家族志向、EBM、個人の健康増進

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○本日は、家庭医の視点でメンタルヘルスについて考察されたポートフォリオであった。
本症例は、摂食障害患者に対して精神科専門医の協力のもと、また家族のサポートを得ながら外来治療を行ってきた事例であった。
幼い頃から食にこだわりがある女性で、来院当初からBMI 15を切っており、無月経もあり神経性食思不振症と担当医は考えていたが、body imageが「ない」ことに違和感を覚えていた。神経性食思不振症の中核症状はbody imageが「ある」だからである。DSM-?を再度見直し、DSM-?にはなかった回避性/制限性摂食障害(ARFID)という新しい概念があることが分かった。患者の2人の子ども、夫のサポートを得ながら、患者本人も徐々に自身の認知の歪みに気づき始め体重増加に転じるようになった。
このARFIDは元々、乳児に対して使われていた用語であり、偏った食事、食事に無関心な状態である。よって小児期から食育の重要性を伝えていくことが大切であると考察した。ディスカッションでは、病名を付けるメリット、デメリット、成人の発達障害とのOverlap、PCCMのゴールの共有について話題となった。精神疾患では特に診断の見直しと診断することの功罪を意識し、共通の理解基盤に立つことがより重要となってくる。

このサイトの監修者

亀田ファミリークリニック館山
院長 岡田 唯男

【専門分野】
家庭医療学、公衆衛生学、指導医養成、マタニティケア、慢性疾患、健康増進、プライマリケア・スポーツ医学