亀田家庭医から生まれた主な論文たちをご紹介

亀田家庭医の論文 
2021年9月22日
文責:鵜飼万実子

今回は亀田家庭医から生まれた主な論文たちを紹介していきます。

河田 祥吾, 岡田 唯男, 高橋 亮太, 鵜飼 万実子.家庭医の専門医養成におけるメンタルヘルスのcompetencyに関するscoping review.日本プライマリ・ケア連合学会誌.2021 Sep;44(3):116-127.
https://doi.org/10.14442/generalist.44.116

メンタルヘルスをプライマリ・ケアへ統合することは、適切なケア、アウトカム改善、資源の適正利用などへ貢献し、世界的な潮流です。諸外国においては、プライマリ・ケアでのメンタルヘルス教育の開発がされてきましたが、日本において家庭医への体系的な教育は十分でありません。家庭医養成で求められるメンタルヘルスの competency を明らかとすることを目的に scoping review を行い、諸外国の教育カリキュラムなどを thematic analysis を用いて分析を行いました。

安藤崇之, 岡田唯男. Google map と地理情報システム (GIS) を用いた地域診断マッピングと高齢者の免許返納支援への応用. 日本プライマリ・ケア連合学会誌. 2020 Dec 20;43(4):148-50.
https://doi.org/10.14442/generalist.43.148

Google mapを用いた簡便なGISの利用方法を開発し、公開されている交通、食料品店、医療機関の位置データや人口データなどの情報をQGISというソフトを用いて変換し、Google map上に取り込んで、診療圏の地域のインフラを可視化して地域の医療機関や生鮮食料品店へのアクセスを可視化し、地域診断や高齢患者の免許返納支援を行いました。

Shinotsuka M, Matsumura S, Okada T. Emergency admissions of ambulatory care sensitive conditions at a Japanese local hospital: An observational study. Journal of General and Family Medicine. 2020 Nov;21(6):235-41.
https://doi.org/10.1002/jgf2.352

外来治療に敏感な状態(ACSC)の緊急入院は、プライマリケアの質の重要なマーカーであり、英国やオーストラリアを含む一部の国で全国的に使用されています。日本で利用可能なACSCに関するデータはまだほとんどありません。この研究は、日本の地元の病院におけるACSCの現状の記述データを提供することを目的としました。

?橋亮太, 岡田唯男, 上松東宏. プライマリケアにおける multimorbidity の現状と課題. 日本プライマリ・ケア連合学会誌. 2019 Dec 20;42(4):213-9.
https://doi.org/10.14442/generalist.42.213

高齢化と共にmultimorbidity患者は増加し、性別、社会経済的地位の低さ、精神疾患合併との相関が示されている.また、死亡率上昇、QOL (quality of life)低下等の健康アウトカムへの負の影響が示唆され、受診回数増加、ポリファーマシー等の患者負担増加や、救急受診、予定外入院、医療費上昇等の医療資源利用への影響がわかってきていますが、介入方法はエビデンスによる十分な裏付けがありません.本総説は国内外の質の高い研究論文を中心にmultimorbidity研究の現状を俯瞰し、研究上の課題を指摘すると共に、それらを踏まえ、臨床現場におけるmultimorbidity患者へのアプローチ方法の提案を行っています。

上松東宏, 岡田唯男. プライマリ・ケア診療における Point-of-care 超音波: 国際比較に基づく現状と展望. 日本プライマリ・ケア連合学会誌. 2018 Dec 20;41(4):184-90.
https://doi.org/10.14442/generalist.41.184

Point-of-care超音波(Point-of-care ultrasound:POCUS)は問診や身体診察を基に組み立てた診断仮説を解決することに絞って、短時間で行う超音波検査です。日本のプライマリ・ケア診療では、超音波検査の重要性が90年代から強調されてきたが、POCUSはまだあまり認知されておらず、CTやMRIといった高度な画像検査に依存しています。また、最大の障壁として技術習得のための資源の欠如と診療中の検査時間確保などが指摘されています.日本のプライマリ・ケアの文脈に沿ったPOCUSの活用方法を定義し、カリキュラムを作成することが必要です。

吉澤瑛子, 岡田唯男, 小原まみ子. 家庭医療後期研修施設 (透析非専門医) において行われる透析医療の質の現状. 日本プライマリ・ケア連合学会誌. 2015;38(3):209-13.
https://doi.org/10.14442/generalist.38.209

日本の透析患者は増加傾向だが、CKD診療からみた必要専門医は概算1万2千人にも関わらず実際は4?7千人しかいません。当院の診療を元に、透析の質の維持向上に工夫をしながら、 透析非専門医が行う当施設の透析医療の現状と、透析の質について検証しました。

このサイトの監修者

亀田ファミリークリニック館山
院長 岡田 唯男

【専門分野】
家庭医療学、公衆衛生学、指導医養成、マタニティケア、慢性疾患、健康増進、プライマリケア・スポーツ医学