Negative capability

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未分化な健康問題

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今回は、専攻医2年目の栗原先生のポートフォリオでした。
ADLが何とか自立した独身独居の70歳代女性の事例で、労作時呼吸困難と下腿浮腫に対して精査を行うも診断がつかない中、患者と向き合っていった症例でした。

Discussionでは、介入前後での先生の気持ちの変化に焦点が当てられました。患者は困り感の割に、介入しても良い反応がなく、一方で拒否的になるわけでもないことに、先生自身違和感を感じつつ、どこまでやるか悩みながら取り組んでいました。患者の昔からだから我慢するという言葉があり、その背景に、緑内障で失明した病い体験が影響し、不幸が起こるのは仕方ないことで受け入れていくしかないという健康観があり、それと同様に捉えている可能性の指摘がありました。

岡田先生からは、上記に関連してニーバーの祈りに言及があり、また家庭医として専門医にコンサルトすることも強みであり、引っ張りすぎずに紹介することも重要だと指摘がありました。Uncertaintyにおいてdefining a diseaseが抜けてしまうピットフォールであり、継続外来の中で注意が必要だと話がありました。
今後に向けて、栗原先生から経験のあるパターンに当てはまらないことがモヤモヤの原因であり、ライフレビューや健康観について話を深めていきたいと展望が述べられました。

このサイトの監修者

亀田ファミリークリニック館山
院長 岡田 唯男

【専門分野】
家庭医療学、公衆衛生学、指導医養成、マタニティケア、慢性疾患、健康増進、プライマリケア・スポーツ医学