健康のその先に

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予防医学と健康増進

キーワード

competing demands model / 行動変容 / inverse care law

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今回は専攻医3年目濵田先生の最後のポートフォリオでした。
アルコール多量摂取による転倒で外傷を受けた60代の患者が外来を受診されました。
外傷に関しては治療完了し、アルコール依存、アルコール性肝障害の疑いに対しフォローされました。
昔は記憶なくなるまで飲んでいましたが、今回の病院を退院されたあとは一滴も飲んでいないとのことでした。
患者に依存症状あれば心療内科紹介受診も検討されましたが、危険飲酒はありませんでした。その後は先生のsupportiveな関わりや患者の積極的な取り組みにより断酒は順調のようです。
ディスカッションでは、この方は行動変容モデルでは維持期に相当すること、今回の症例は転倒入院のエピソードが大きな意味を持っていたと思われることや、アルコール関連疾患のスクリーニングの検討、患者をsurvivorとして役割を与えることで行動変容のステージを強化すること、今回の症例でなぜうまくいったかをより掘り下げることで治療困難例にうまく利用できるように一般化することなどが挙げられました。
また、アルコール依存症は、どんなに中断期間が長くとも飲酒すると一瞬で元に戻ってしまうので注意が必要です。ヘルスメンテナンスにおいて、"inverse care law" が問題となっていて健康問題が多い人ほどヘルスメンテナンスが乏しく、健康問題が少ない人ほどヘルスメンテナンスが豊富になる傾向があります。

このサイトの監修者

亀田ファミリークリニック館山
院長 岡田 唯男

【専門分野】
家庭医療学、公衆衛生学、指導医養成、マタニティケア、慢性疾患、健康増進、プライマリケア・スポーツ医学