レジデントデイ2018 第2回 #1レクチャー

先日は今年2回目のレジデントデイでした。この勉強会は当院と安房地域医療センターの専攻医を中心に2年前から開始され、年3回、家庭医としてのDeep learningを目的に行っており、今回で計8回目です。内容は、ビデオフィードバック(診療中のビデオを供覧し、とくに態度領域の振り返り、学びを深める)、ポートフォリオ(今回はCOPC : Community oriented primary careのテーマで二名の発表)、岡田院長レクチャー(家庭医のコアに影響する理論を学ぶ(例:BPS : Bio-Psycho-Social / システム理論、慢性疾患のケアなど))と盛りだくさんで、時間も土曜の15時から19時とじっくり学びます。
今回も20名近い医師が参加し、学びを深めました。
今回の内容を2回にわけて紹介します。

ビデオフィードバックでは、高齢夫婦の外来を取り上げ、日々の定期外来でのルーチンと、誕生日をきっかけにしたACP : Advanced Care Planningを行った場面を皆で供覧しました。ACPについては「どんなタイミングで、どのような内容を、どうやって深め、そしてどう記録するか」という議論に繋がりました。

当院院長の岡田先生レクチャーでは、いつも臨床面で学ぶ方法論よりも、一段階深いところで家庭医療学に関わってくる理論について学びます。今回は「複雑系」という理論についてで、内容を簡単に羅列すると、ニューサイエンス全般、複雑系の特徴(非線形性、初期値過敏性、自己組織化、創発など)、家庭医と複雑系の関係性(統合されたケアへのつながりなど)でした。この理論について学ぶのは私自身2回目でしたが、やっと理解できたこと、まだ理解しきれないことがあるくらい深いです。しかし今年第1回目に学んだシステム理論と合わせて考えると、日々の診療で対峙する問題は、一対一の関係で説明できる事象は少なく、私達の関わりという視点を完全なる客観にはできないこと、ルールは単純に見えて結果が予測されないこと...など、家庭医の専門性に深く関わることを改めて意識できました。

文責:久保田

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このサイトの監修者

亀田ファミリークリニック館山
院長 岡田 唯男

【専門分野】
家庭医療学、公衆衛生学、指導医養成、マタニティケア、慢性疾患、健康増進、プライマリケア・スポーツ医学