信念の対立

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プロフェッショナリズム

Key Word

信念対立、信念対立アプローチ、緩和、プロフェッショナリズム、Good death inventory、小児

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○小児の看取りという経験を通じ、治療や療養方針を決定する上で感じたもやもや辛さを共有してくれました。その感情・関係を信念対立アプローチで客観的に振り返り、自身のプロフェッショナリズムを考える事例となりました。

小児看取りの症例に担当医として治療方針やコードの決定などに携わる機会を発表者は得ました。本人の緩和ケアだけでなく、兄弟・家族のケアを他職種チームで行っていましたが、療養が長引く中で、家族の状況も鑑み、療養方針を検討する機会がありました。その際、本人の事を思いつつも、関係者各々の大切にするもの・信念にずれがあり、思い悩んだ経験を語りました。カンファレンスを重ねるなかで感じた困難さを言語化しました。最終的には看取りを行い、良かった点や思い残す点など、多くの学びを得ました。

今回、信念対立アプローチという概念を知り、今回のもやもやを振り返りました。「解決」することではなく「解明」することが重要であり、その中で、相対可能性と連携可能性を考え、その差異と可能性を明らかにする方法を知りました。各々の立場を考え、その信念の根幹を推察することが、お互いの理解をすすめる上で必要だったと振り返りました。

ディスカッションでは、「家族医療者を含む関係者は時間が経ってどう感じているのか知ってみたい」「自身の信念の根幹を見つめるいい機会」「自分のグリーフをどう癒すか」「今後、信念対立していると感じた際にどう向き合うのか」などが上がりました。日本人のGooddeath inventoryの中に「信頼できる医療者と過ごすこと」が終末期の満足度の中に含まれると言います。担当医がその時間を提供することが出来たことに意味もあるのではないかとのコメントもありました。時間経過の中で自身の中で昇華することができれば、より良いポートフォリオになるのではとの意見も出ました。非常に重要で、学びに富む発表をありがとうございました。

このサイトの監修者

亀田ファミリークリニック館山
院長 岡田 唯男

【専門分野】
家庭医療学、公衆衛生学、指導医養成、マタニティケア、慢性疾患、健康増進、プライマリケア・スポーツ医学