子供の生活習慣病は親の責任??

エントリー項目

家族志向型ケア

キーワード

家族志向型ケア、行動変容、コミュニケーション、脂質異常症


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○今年度初となる専攻医3年の坂井先生のポートフォリオ勉強会がありました。
症例は10歳男児で、小児生活習慣病予防検診で脂質異常症を指摘され受診。ジュースやお菓子なども多い食習慣で、生活指導するも、むしろ採血結果は悪化する状態でした。母が食事を準備しているようですが受診に同伴するのは別の家族で十分に説明ができません。本人は外来に一生懸命来てくれるが、結果が伴わないことへ医師としての葛藤がありました。

家族内のヘルスエキスパートを考える、子供のヘルスケアで考慮すべき2つの軸(病気のこども/健康のこども、自信のある親/不安な親)、家族志向の子供のヘルスケアのためのガイドラインを元に主治医として1.栄養指導を相談(栄養指導日に来院できないため栄養士に個人的にコンサルト)2.学校から本人・家族の状況を聴取してみるという考えがあり、この家族にどう介入したらよいか、他の切り口はどんな方法が考えられるかを話し合いました。

ディスカッションでは、こどもに伝わるようなわかりやすい生活習慣病の説明を考えてみることはどうか、小児の脂質異常症をどのくらい注力をして厳格に治療するか、家族の食事観や食べている状況、家族全体の行動変容として考えてみるのはどうか、などの意見がありました。岡田院長からは、家族性コレステロール血症の可能性や小児の生活習慣の評価ではBMIでなく肥満度で計ること、そもそも無症状の小児への採血スクリーニングは勧められるか、またそれを元に診療を継続してよいかといったお話がありました。

脂質異常症については近年方針が大きく変化しており、小児においてどういった治療や介入が望まれるのか、家庭医としての幅広い視点から考えさせられたポートフォリオ勉強会でした。

参考文献:McDaniel Campbell(2012)『家族志向のプライマリ・ケア』(松下 明訳) 丸善出版.

このサイトの監修者

亀田ファミリークリニック館山
院長 岡田 唯男

【専門分野】
家庭医療学、公衆衛生学、指導医養成、マタニティケア、慢性疾患、健康増進、プライマリケア・スポーツ医学