ちょっとためになる話25:頚椎後縦靭帯骨化症2

 脊柱靱帯骨化症の中で最も頻度が高いのが「後縦靱帯骨化症」で、骨化巣の形態によりいくつかのタイプに分類されています。初めにお話ししたように日本人に多く、発症には遺伝的素因が関連している可能性があります。糖尿病との関連も指摘されています。骨化巣が小さなうちは無症状のことも多く、症状があっても急速に進行することは少ないので、あわてて手術を受けられる必要はありません。軽微な外傷で症状が急速に悪化することがあります。転倒などには十分注意してください。脊髄症状が進行する場合には、外科的治療が必要になります。治療のタイミングや治療方法の選択は少し難しい判断になります。専門医に御相談ください。 「脊柱靱帯骨化症友の会」でも情報を提供しています。(http://chibakensekichu.sakura.ne.jp/

Hさんの経過

 65歳までは全くお元気でしたが、転倒をきっかけに寝たきりとなってしまいました。
地元の病院では治療ができないとのことで、ご家族が亀田病院に相談にいらっしゃいました。術前のMRI、CTスキャンでは著明な骨化巣を認め(骨化巣はCTでは白く、MRIでは黒く描出されています)、脊髄がペチャンコにつぶれています。
 頚椎の前方からと後方からの2回の手術を行いました。リハビリ後、日常生活ができるまでに改善し、ご自宅へ退院されました。

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このサイトの監修者

亀田総合病院
脊椎脊髄外科部長 久保田 基夫

【専門分野】
脊椎脊髄疾患、末梢神経疾患の外科治療