ちょっとためになる話24:頚椎後縦靭帯骨化症1

 今まで背骨の仕組みや働きについてお話ししてきましたが、話を簡単にするために「靱帯」には触れないできました。背骨(せぼね)や神経が主役だとすると、靱帯はそれを支える脇役、しかも無くてはならない名脇役です。
 普段は地道に背骨を支えていますが、靱帯にカルシウムが沈着すると困ったことになってしまいます。今回は「脊椎靱帯骨化症」のお話です。頚椎後縦靱帯骨化症は1960年に日本で発見されました。日本を初めとする東洋人に多い病気で、治療が大変難しいので、厚生労働省の「特定疾患」に指定されています。

脊椎靱帯の解剖と靱帯骨化症の症状について

 背骨は「椎骨(ついこつ)」と呼ばれるブロック状の骨が、いくつも積み重なって構成されています。そして、椎骨と椎骨の間には椎間板があります。上手に積み木を積み重ねたみたいですね?でもそれだけだと、背骨はバラバラになってしまいます。この椎骨と椎骨を結びつけているのが「靱帯」です。
 靱帯は丈夫な線維の束で、脊椎にはいくつかの種類があります。図を見てください。椎体の前にあるのが前縦靱帯、後ろにあるのが後縦靱帯です。幅の広いテープのような形をしていて、頚椎から腰椎までつないでいます。一方、黄色靱帯は膜のような形をしていて、椎弓と椎弓をつないでいます。
 これらの靱帯に石灰(カルシウム)が沈着して、分厚くなってしまうことがあります。脊髄と靱帯の位置関係をよく見てください。後縦靱帯や黄色靱帯は脊髄に接していますね。ですから、これらの靱帯が厚くなると、脊髄を圧迫するようになります。脊髄が障害されると手足のしびれ、巧緻運動障害、歩行障害、排尿障害など脊髄症状が進行してきます。
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このサイトの監修者

亀田総合病院
脊椎脊髄外科部長 久保田 基夫

【専門分野】
脊椎脊髄疾患、末梢神経疾患の外科治療