ちょっとためになる話16:腰痛との正しい付き合い方1

急性腰痛の対処法

 前回お話ししたような『危険な腰痛のサイン』がある人は早めに病院を受診してください。「危険な腰痛のサイン」がなければ、無理に受診する必要はありません。急性期は楽な姿勢で安静にしてください。市販の湿布薬を貼ったり、鎮痛剤を服用していただいてもかまいません。腰椎コルセットを使用する場合には、布製の柔らかめのものを使用します。
重篤な病気がなければ、腰痛そのものをあまり怖がる必要はありません。腰が痛いときに無理に動き回る必要はありませんが、逆に用心しすぎて横になってばかりでは回復が遅れてしまいます。

腰痛に関する声明(バックレター)

 急性腰痛についての有名な声明を紹介します。「腰痛に関する国際フォーラム(1995年、シアトル)」で報告されたもので、バックレター(腰痛への手紙)とも呼ばれています。

  1. ほとんどの患者さんは、1〜2週間以内に腰痛は大幅に軽快する。ただし、軽度の不快感が1〜3ヶ月程度続くことがある。
  2. ほとんど患者さんは、その後の経過中に腰痛の再発がみられる。再発は一般的なもので、状況が悪化したことを意味するものではない。
  3. 患者さんの4人のうち1人程度は1年後も腰痛が持続する。不快な腰痛が持続する場合は、通常の日常生活と規則正しい運動再開が重要である。
  4. 通常の日常生活を再開した患者さんは、これらの活動を制限した患者さんよりも自分の健康状態を高く評価しており、薬剤の使用量も、心理的ストレスも少ない。

 英語で書かれた声明を日本語訳したものですので、少しわかりにくいところもあるかと思います。要約すると「ほとんどの腰痛は1〜2週間で改善しますが、それ以上長引いたり再発したりしても、あまり心配することはありません。早めに普通の日常生活に戻した方が、予後はいいですよ。」ということだと思います。

このサイトの監修者

亀田総合病院
脊椎脊髄外科部長 久保田 基夫

【専門分野】
脊椎脊髄疾患、末梢神経疾患の外科治療