ちょっとためになる話17:腰痛との正しい付き合い方2

 欧米では若年者の腰痛が社会問題になっています。アメリカでは労働人口の約2%が毎年腰痛のために社会保証を受けており、腰痛に対して社会が支払った費用は2兆円以上、45歳以下の人々の就業不能の最も多い理由となっています。

 当院ではPT(理学療法士)の多田幸代さんが「看護師の腰痛」について調査してくれました。この結果は「看護師における腰痛関連要因の検討 第1〜3報」として権威あるJournal of Spine Researchという雑誌に報告されています。

 少し詳しく紹介します。多田さんの報告では看護師さんの腰痛有病率はなんと42.9%、5人に2人が腰痛に悩まされているという結果でした。この割合は他職種の約2倍になります。世代別に見てみると、 20歳代では38.5%、30歳代では49.2%と、年齢を重ねるに従って腰痛の割合が増えていました。生活関連の要因としては子育て、運動不足、喫煙などが腰痛のリスクファクターとなっていました。業務の内容とも関連しており、中腰での作業、体をねじる作業、重量物の運搬、トランスファーなど腰に負担をかける作業が多い部署ほど腰痛の割合は高率でした。

 腰痛体操などのエクササイズにより、背骨を支える筋肉(腹筋や背筋)を維持することは重要です。また、部署ごとにどうしたら腰痛を予防できるか、作業内容を見直してみることも必要かもしれません。

このサイトの監修者

亀田総合病院
脊椎脊髄外科部長 久保田 基夫

【専門分野】
脊椎脊髄疾患、末梢神経疾患の外科治療