尿管損傷の修復術

1.尿管尿管吻合術:
術中に発見されたようなケースでは、尿管同士が問題ないことを確認し尿管尿管を再吻合します。

2.Psoas hitch:
最も多い修復術となると思います。Retius腔をしっかりと左右展開すると膀胱が伸びやすく、吻合部の緊張が無くなり、術後吻合部狭窄のリスクが少なくなると考えます。

3.Ritch Gregor:
胱に生理食塩水を満たし、粘膜を損傷しないよう約3㎝筋層を切開します。(新尿管口直径の約3倍)膀胱筋層だけを剥離します。尾側の膀胱粘膜を尿管に合わせて切開し、4-0や5-0のモノフィラメントで結節縫合します。筋層は尿管を覆うように3-0より糸で結節縫合し粘膜下トンネルを作成します。

4.Boari Flap:
困った時に頼りになる修復術ですので、絶対知っておいてください。
膀胱のFlapは大胆に切る感じです。約4㎝幅のFlapとします。
膀胱が伸びる方で、腎下極あたりまで伸ばして修復したことがあります。
膀胱の横計くらいは伸びますので、CTで確認しておくと良いです。

5.回腸尿管:
尿管が使えそうになければ、回腸を利用します。回腸を利用すれば腎盂尿管移行部から膀胱まで引っ張ってこられますので、とても有効な修復法だと感じています。放射線障害の方では、術後の回復が遅れるケースを経験し、放射線治療後の方は入院期間など長くかかる可能性があります。

このサイトの監修者

亀田総合病院
泌尿器科部長 安倍 弘和

【専門分野】
泌尿器疾患一般 腹腔鏡下手術