第104回日本泌尿器学会総会に参加しました。(2016年4月23日〜25日)

仙台で行われた第104回日本泌尿器学会総会に参加しました。
当院で行われた手術成績について発表をしました。

『腹腔鏡下鼠径ヘルニア根治術と腹腔鏡下前立腺全摘除術同時施行の経験』を安倍 弘和が発表しました。腹腔鏡下前立腺全摘除術のあと鼠径ヘルニア(特に直接型は術後必ずヘルニアになる)の合併症が多いのですが、術前あるいは術中に鼠径ヘルニアをみつけ、同時に治療することで2度の手術をすることなく患者さんの満足度が高くなるなる可能性を発表しました。手術されている先生でもヘルニアの原因を理解されていない先生も多く、少しずつ伝えていかなければと思います。

『HoLEP核出重量50g以上の症例検討』を鈴木 康一郎が発表しました。
正常の前立腺の容量は20g程度です。核出重量50g以上となるHoLEPは難易度が高くなります。当院で行われた難易度の高い症例についてまとめました。HoLEP後の尿失禁の症例は0%で非常に安定した成績です。

『下大静脈腫瘍塞栓を伴う腎癌の手術成績』について越智 敦彦が発表しました。腎癌の中でも下大静脈や心房にまで達している腫瘍塞栓の治療を当院では行っています。心臓血管外科とコラボし心臓を開けて、腫瘍塞栓を取り除きます。一見術後の予後が悪いのではと感じられる先生も多いと思いますが、実は成績がよいのです。新規薬剤のネオジュバント治療で今後そのような症例が減ってくるかもしれませんが、有力な治療法だと実感しています。

『当院での腹腔鏡下前立腺全摘除術(LRP)時における膀胱尿道吻合法と術後尿禁制の成績検討』について范 博が発表しました。腹腔鏡下前立腺全摘除術は術後尿失禁が多いと言われていますが、果たしてそうでしょうか?ロボットを使用したら尿失禁が減った、開腹から腹腔鏡になったら失禁が増えたなどなどの発表がありますが、原因はなんだったのでしょうか。それは腹腔鏡手術の技術と、尿失禁をもたらす原因を考えなければなりません。
技術向上と原因除去(特に手術による侵襲:尿道膀胱吻合法のアレンジ)によりロボット手術と同等あるいはそれ以上の尿禁制を保てています。術後の機能温存を考えたアプローチは重要です。会場からは「腹腔鏡下前立腺全摘除術の尿禁制とは考えられないと」声があがりました。

このサイトの監修者

亀田総合病院
泌尿器科部長 安倍 弘和

【専門分野】
泌尿器疾患一般 腹腔鏡下手術