Journal club(17.1/20)

(※このコンテンツには作成者の個人的意見も含まれております。臨床への応用は御自身の判断及び責任に基づき行ってください)

今週のJournal clubはこちらの論文

MRI signal Intensity Classification in Cervical Ossificatino of the Posterior Longitudinal Ligament
Spine voi.42

日本の名古屋大学からのOPLLの画像的検討に関する一本。PECOTで概要を見ると

Patient; 手術を受けたOPLLの患者119例
Exposure;術前のMRI画像の検討
Comparison;設定なし
Outcome; JOA scoreによるmyelopathy の程度
Type of design; prospective cohort study

MRIのT2signalの程度を基にgrade0,grade1,grade2に分け、術後の回復具合を検討。有意差が出たのは罹患期間、JOA score recovery rate、SCA(骨化巣と脊柱管のスペース)のextension&flexsionでの変化。
結論としては、MRIでの信号強度と罹病期間、SCAの変化の関連が考えられるとのこと。
機能の回復具合については骨化巣のみならずSCAのような動的要素も関わっていそうである。

-批判的吟味とコメント-

New knowledgeか?→罹病期間が長ければcord highが強くなるのは自明のことであり、当然回復にも時間がかかる。真新しい内容ではない。
Selection bias→手術に至った経緯や同一術者かどうか記載なく、biasになりうる。またCSMの要素がどれほどあるのか、元々のinstabilityがどの程度か記載なし。
Information bias→特にgrade1とgrade2の階層化が明確ではないのが気になる。画像的な主観的要素しかなく多分にbiasが考えられる。
交絡因子→基本的には交絡因子はなし
外的妥当性→妥当性はあり

ある意味当たり前のことを明文化した印象。Grade1,2の階層化、程度が不明でここを分ける意義もはっきり述べられていないのは残念。SCAの動的要素が機能予後回復に関わっているかもしれないという部分は今後に繋がりそう。

このサイトの監修者

亀田総合病院
脊椎脊髄外科部長 久保田 基夫

【専門分野】
脊椎脊髄疾患、末梢神経疾患の外科治療