スポーツ医学とは10- スポーツ医学は"スポーツ整形外科"のみではない!?

2010年1月よりスポーツ医学科にて「スポーツ内科」外来を試験的に開始いたします。担当はスポーツ医学科フェローで家庭医診療科医師の池尻好聰先生です。

なぜ家庭医?と思われる方も多いと思います。日本では遅れていますが、欧米では家庭医がスポーツ選手の診療をすることはかなり一般的なのです。それは家庭医が内科から皮膚科、婦人科、整形外科、栄養学、運動生理学、と幅広い知識と技術をもっており、様々なスポーツ選手の訴えに対応可能であるからです。さらに欧米では必要に応じて各科専門医に紹介しやすいシステムが確立されているというのも理由の一つのようです。亀田メディカルセンターにおいても各科専門医がそろっており、必要に応じてただちに専門医に紹介できるサポートシステムが万全であるという点から、「スポーツ内科」外来を試みることとなりました。

そこで今回は「スポーツ内科」外来を担当する池尻先生(以下I)に私スポーツ医学科の大内(以下O)がお話を伺いました。

O:池尻先生、なぜ「スポーツ内科」の外来を開くことにしたのですか?

I:皆さまはじめまして。池尻好聰と申します。スポーツによるけがといえば、筋肉、靱帯、軟骨、骨の問題が多くを占めると思います。スポーツ医学科の外来でもこれまでスポーツ整形外科医である大内洋、後藤達広両医師がこういったけがに対して運動療法を用いて治療してまいりました。また不幸にして関節に構造上の問題が生じてしまった方に対して、早期にスポーツ、お仕事に復帰できるように非常に小さな傷で関節鏡手術がなされております。ところが、スポーツ選手の訴えは筋肉、靱帯、軟骨、骨の問題に限らず、そういう方のために開設しようと思いました。

O:それではスポーツ選手では整形外科の問題以外にどういった訴えがあるのですか?

I:特にスポーツ選手で多いのが、内臓や皮膚、心理面の問題といわれています。

O:そういった方を対象とした窓口ということですね?

I:そうです。私が担当する「スポーツ内科」の外来では、スポーツに伴った内科的な問題(動悸、めまい、失神、喘息、下痢、血尿、むかむか感、食欲不振、貧血など)はもちろん、婦人科的な問題(生理の問題、妊婦のスポーツの問題、骨粗しょう症など)、皮膚の問題(テーピングに伴った湿疹、水虫、感染症など)、こころの問題(気分や心理面)、栄養の問題(食事、栄養、サプリメント)、などの相談に対して、最適な治療法を一緒に検討させていただきます。そして、必要と判断した場合には、ただちに各専門科へご紹介させていただきます。

O:他にはどんなことがスポーツ内科の外来で対応可能ですか?

I:まず一つは他に合併症のある方、ない方の「運動処方」です。これから運動を始めたいけれど、内科にかかっていて、どのような運動をどれくらいしてよいか分からないので相談したい、というような方は対象になります。また、「運動前内科チェック」も行うことが可能です。これから運動を始めるにあたり、症状のある内臓のチェックをしてほしい、という方を対象に検査を行い、必要ならば専門科に紹介します。もちろん整形外科的な問題がみつかればスポーツ医学科所属の整形外科医である大内、後藤両医師に紹介し、治療していただきます。

O:よくわかりました。スポーツ内科の外来もスポーツ選手の競技力向上にとっては大変重要そうですね!

スポーツ内科の外来は完全予約制です。受診希望の方はスポーツ医学科で通常のスポーツ整形外科外来を担当している大内医師、後藤医師にご相談ください。

スポーツ医学科 大内洋

このサイトの監修者

亀田総合病院
スポーツ医学科主任部長 大内 洋

【専門分野】
スポーツ整形外科、関節鏡手術、スポーツ整形外科疾患に対する超音波診断
PRP療法、体外衝撃波、高気圧酸素治療の最新治療法