呼吸器リハでひと息 Vol.8

新しいことを覚えるのが苦手な方へ 
『要するに』と『例えば』の往復で理解を深めるする

リハビリテーション事業部は、今年も呼吸療法認定士認定試験に向けて、学習会が始ました。
当院のリハビリスタッフの受験希望者も学習を頑張ってくれています。

学習会のはじめは、解剖など、リハビリテーション養成校でも習ったことがある内容であるので、復習の感覚で、学習も進むと思います。
しかし、少し進んでいくと、いろいろ馴染みのない、呼吸療法に関わる用語が出てきます。
例えば、呼吸生理のところでいうと、死腔とか、シャント、肺胞気式とかA-aDO2 とか。
このあたりになると、急に厳しくなってきますよね。

呼吸療法の学習の進め方では、基本的にテキストを読んで学んでいる方が多いかと思いますが(動画での説明をみて学ぶ方もいるかと思いますが)、ここでは、当院の学習会で、どのように学んでいくかについて少し触れてみましょう。

✓『要するに』と『例えば』の往復で理解を深めるする。

私たちの学習会では、次回学習する内容を事前学習してきてもらい、当日の学習会で、事前学習の内容について確認します。

その学習会で、例えば、“死腔って何?”と質問した時に、テキストなどでは『気道において血液とガス交換を行わないガスの導管部を占める領域』(ウィキペディアより引用)のように記載されているので、事前学習してきたスタッフの中にはテキストの記載されている文をそのまま回答する方もおります。
そのように答えていただいたスタッフに「でも、それって何?要するにどういうこと?」と質問すると、“・・?・・・?”となかなか回答が滞ってしまうことがあります。

死腔は、『要するに換気量の中のガス交換に関与しない部分』と言い換えて表現できるか?ということです。
そして、『例えば、気管や気管支、細気管支、終末細気管支に存在するガス(空気)』などと表現できますね。

このように、何かを学ぶときに概要は(要するに)・・・、詳細は(具体的には)・・・ということを行ったり来たりして覚えてみると、理解がしやすいと思います。

ただ、テキストを読んですぐに、要するに、例えば、が出てこないこともあります。
その場合は、学習会などで質問して指導者の理解を、自分に取りもんでしまうことがよいと思います。

ですので、私たちのこの学習会でも、『要するにどういうこと』『例えば、どういうこと』という表現で、理解を確認しています。
この方法は、新しい知識をテキストに記載している言葉の丸暗記ではなく、自分の言葉で表現するため、記憶に残りやすく、理解が進むのではないかなと思います。

この『要するに・例えば』の両者ができると、他の場面でも、自分の考えを他の方に伝える時に役に立つのではないかなと思います。
これは『抽象と具体』とも言われ、頭(考え)を整理する一つの手法としても紹介されています。(詳細はこちら→https://studyhacker.net/abstract-and-concrete)

また、このようなことを行う能力は『コンセプチュアルスキル(概念化能力)』とも言われ、私たち活動(仕事など)を進める上で、持ち合わせているとよい能力になります。

呼吸療法士の試験勉強でお困りの様でしたら、是非、このようにして新しい知識を取り込んでいってください。

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