第58回日本呼吸器学会学術講演会 その1 田中医師と根本医師の発表

第58回日本呼吸器学会学術講演会(4月21日〜4月23日)が大阪国際会議場で開催されました。今回、当科からは6演題を発表し、青島主任部長と三沢部長がポスターセッションの座長を担当しました。本講では、田中医師と根本医師の発表(指導;三沢部長)を報告します。

根本は、「隣接臓器浸潤III期NSCLCに対する集学的治療の安全性・有効性を検証する観察研究」を発表し、「本研究において切除可能 III期NSCLC(AOI T3-4, anyN)に対する外科切除を含む集学的治療に関し、2年時点の成績は良好と考えられ、安全性の面でも許容できるものであった」という結論を述べました。

根本は、「研究の打ち合わせもできつつ、京都大学iPS研究所所長山中伸弥先生の講演から基礎研究の最先端にも触れることができとても勉強になる充実した学会でした」と感想を述べました。

田中は、「限局型小細胞肺癌で根治的化学放射線療法症例の予後予測因子の検討、単施設、後ろ向き観察研究」を発表し、「限局型小細胞肺癌の根治的化学放射線療法(CCRT)症例において、長期予後予測因子はPSやTNM stageではなく、併存疾患の可能性がある。」と結論を述べました。

田中の発表について、会場からは「放射線照射についてConventional RT 60-66Gy vs Continuous hyperfractionated accelerated RT; CHART 45GyでOSに差が出ていない理由はどう考えるか?」と質問があり、「先行研究ではConventional RTは45Gyであったため、そもそも当院での60Gy以上の照射と45GyのCHARTの直接比較はなく、高齢、併存症あり、PS不良症例などにおいて60GyのConventional RTでも充分治療効果を得られる可能性がある。」と返答しました。

田中は学会の感想として、「昨年の呼吸器学会では、呼吸器内科に所属して1ヶ月での参加であり、臨床的疑問がほとんどない状態での参加でした。今回は日常臨床の疑問を多く抱えた状態での参加であり、自身の興味があるポスターや教育講演などいくら時間あっても回りきれないくらい刺激的な内容が多かったです。」と述べました。

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このサイトの監修者

亀田総合病院
呼吸器内科部長 中島 啓

【専門分野】
呼吸器疾患