市中病院で行う中島部長の視点:「ニッチな領域を追求しよう」

これから新しいブログの項目として、亀田総合病院呼吸器内科から「市中病院で行う中島部長の視点」を紹介していきたいと思います。

当科は、2017年度論文数9本(内英文誌 7本)、国際学会6演題、国内学会29演題であり、市中病院としてトップクラスの学術業績を出しています。

当院が、市中病院で臨床研究を行ってきた経験より得たTIPSを紹介していきます。


今回のテーマは「ニッチな領域を追求しよう」というものです。

臨床研究に取り組む場合は、研究者が多い混んだ領域よりも、研究者が少ないニッチな領域に取り組むのが望ましいと言われます。
(J Clin Oncol. 2013 Feb 20;31(6):811-3)

つまり、ライバルが多いレッドオーシャンよりも、ライバルが少ないブルーオーシャンを研究テーマにする方が良いという意味です。

ライバルが少ないと、自分の研究が周囲から注目を受けやすくなります。
誰よりも早く新しい知見を示すことで、自分自身がその領域のパイオニアになる可能性があります。

研究者が、米国など海外に行くと、「What is your niche? (あなたが取り組むニッチな領域は何ですか?)」と、他の海外研究者によく聞かれるそうです。

研究者としては、自分の強み(=自分の取り組むニッチな領域)を理解しておくことが重要であることが示唆されます。

例えば、診療科の多い市中病院では、「分野の狭間(はざま)」(血液内科と呼吸器内科の狭間など)について研究に取り組みやすいです。

当院の例を挙げると、亀田総合病院呼吸器内科では、血液腫瘍内科患者さんの肺病変についてコンサルトを受けることが多く、経験を蓄積しております。

よって、侵襲性肺アスペルギルス症に対する気管支鏡診断や、非HIVニューモシスチス肺炎の研究に取り組んでおり、これらは大変ニッチな領域になっております。
(当院から出た論文例:J Microbiol Immunol Infect. 2017 Jul 23. https://e-jmii.com/retrieve/pii/S1684118217301470

市中病院で臨床研究を行う場合は、特殊な専門病院では経験するのが難しい「分野の狭間(はざま)」(血液内科と呼吸器内科の狭間など)に注目すると、ニッチな領域を開拓できるのかもしれません。

*亀田総合病院呼吸器内科は、後期研修医やスタッフを募集しています。ご興味のある方はnakashima.kei@kameda.jp までご連絡ください。
募集要項はこちら→https://www.kameda.com/pr/pulmonary_medicine/recruit.html

(↓本記事の参考文献 J Clin Oncol. 2013 Feb 20;31(6):811-3)

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このサイトの監修者

亀田総合病院
呼吸器内科部長 中島 啓

【専門分野】
呼吸器疾患