第23回大腸肛門機能障害研究会(2017年9月2日開催)報告その3

亀田京橋クリニックの中野かおる管理栄養士が「国民健康・栄養調査の結果からみ当院便失禁患者の食事傾向」について発表を行いました。

2017年2月に国内では初めて「便失禁診療ガイドライン」が刊行され、その中でも食事指導の重要性が書かれています。しかし実際に食事と便失禁の関係性についての研究は少ないのが実情です。今回、中野かおるは便失禁患者の食事内容傾向を国民健康・栄養調査と比較し検討を行いました。
国民健康・栄養調査とは日本の厚生労働省が全国の18,000人を対象として身長などの身体状況や食事状況、生活習慣を調査し公表しているものです。中野は便失禁を訴え外来受診した女性100名と全国の3,332名間で、便失禁に関わる食品(食物繊維、米類、果実類、乳製品)摂取量を比較しました。その結果食物繊維摂取量は両群間に差はないものの、便失禁患者群で便の形状を保つ働きのある米類摂取は有意に少なく、便を軟化させる作用のある果物類は有意に多い傾向にあった。便失禁患者への食事指導を行う上で食物繊維摂取量に注意をするのではなく、その内訳に注視する必要があると報告しました。

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このサイトの監修者

亀田総合病院
消化器外科部長 高橋 知子

【専門分野】
肛門疾患、排便機能障害、分娩後骨盤底障害