平井菜穂理学療法士から日本女性骨盤底医学会参加報告

亀田クリニックと亀田京橋クリニックで骨盤底リハビリ外来を行っている平井菜穂が7月に日本女性骨盤底医学会に参加してきました。今年はテーマが理学療法士や看護師も交えたトータルケア、そして産後の関わりへと変化してきたようです。以下平井の報告です。


2017年7月29日、30日福井市で開催された『第19回日本女性骨盤底医学会』に参加してきました。今までは医師を対象とした骨盤臓器脱や尿失禁などの手術内容がほとんどでしたが、今回は、「女性骨盤底のトータルケアを目指して」というメインテーマで、看護師、理学療法士などのコメディカルの関わりが深い「骨盤底筋訓練」「POPおよび尿失禁に対する骨盤底筋体操の指導と効果」といった内容が数多くありました。今回の学会ではセミナーとして行われた「産後の尿漏れに関する現状と提案」が特に興味深い内容でした。フランスやオランダでは産後のリハビリテーションは公的な医療サービスとして行われています。しかし、産後のリハビリテーションを行っても骨盤臓器脱や尿失禁の予防につながっていないとも言われています。そこで、討論されていたのは予防につながらないから行わないのではなく、産後困っている方に対して適切に多職種が専門的に関わり、産後の骨盤底ケアを含め介入することが大切だということでした。

また、尿失禁に対する骨盤底筋体操はグレードAと推奨されているにも関わらず、理学療法士は、産前産後や尿失禁の症状に対しての介入は保険適応となっていません。それにも関わらず積極的にそれらの分野に関わっている理学療法士が数多くいることが印象的でした。その中で、超音波や筋電図を使ってしっかり評価を行いながら行う必要性も強く感じました。女性骨盤底のトータルケアを目指して、より専門的な機能評価を含めたアプローチや生活指導や心身のケアを含めたトータル的なケアができるよう努めてまいりたいと思います。

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このサイトの監修者

亀田総合病院
消化器外科部長 高橋 知子

【専門分野】
肛門疾患、排便機能障害、分娩後骨盤底障害