vol.47 『米国のEnd-of-life discussionのカウンセリング料制度のゆくえ』

『米国のEnd-of-life discussionのカウンセリング料制度のゆくえ』
2016年1月に米国でEnd-of-life discussionカウンセリング料算定制度が発足してから1年が経過しました。初年度1月から6月の半年間に、1万4千人の医師ら(providers)がこの制度を利用し、のべ22万3千人の患者のアドバンスケアプラニングの話し合いに対して35millionドル(約40億円)が計上されたとのこと。当初の予測よりも利用者は多い数値で推移しているとのことです。まずは、無難な滑り出しといったところでしょうか。この制度をプラスに評価する医療者や国民が多い一方で、終末期についての話し合いを切り出すことを促すこの制度は、積極的治療や治すことを期待する多くの国民に死を突きつける(death panel)ものだ、との保守派による根強い反対があるようです。
私自身は、高齢多死社会を迎える日本でも同様な制度の導入が総論的には望ましく、いずれは避けて通れないことだと認識しています。ただし、各論的には様々な側面におけるバリアが存在していることも重々理解しているつもりです。近年、ACP推進の取り組みが日本各地で始まっていますので、そこでの試行錯誤からの経験知を集め、議論を深めていく延長線上に、日本での望ましいACPカウンセリング制度のあり方が見えてくるでしょう。

(関根)

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このサイトの監修者

亀田総合病院
疼痛・緩和ケア科部長 関根 龍一

【専門分野】
病状の進行した(末期に限らない)癌や癌以外のあらゆる疾患による難しい痛みのコントロール、それ以外の症状の緩和